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治療

筋膜の流れ、機能の流れ

筋膜は確かに連続性を持っています。これはアナトミー・トレインの出版によって有名になったわけですが、このことについてはそれ以前からいろいろと言及されています。

この連続性、ネットワークを応用すると、治療の幅が広がります。たとえばネットワーク上のある部位を鍼なり手技で刺激すると、その影響はネットワークを通じて離れた部位にも波及します。仮にある部位の緊張があったとして、ネットワーク上の他の部位に刺激を加えることにより改善を図ることができるのです。

たとえば僧帽筋の緊張があったとします。僧帽筋は、肩甲棘、鎖骨などを間に三角筋膜と連絡します三角筋膜は三角筋粗面において上腕外側筋間中隔に連絡します。外側筋間中隔は外側上顆に至ります。外側上顆からは前腕伸筋群の筋膜に至ります。たとえば、伸筋支帯に対して刺激を加えると、遠く離れた僧帽筋の緊張に対し定位効果を与えることも可能です。

ところが、筋膜の連絡だけではなく、時には機能的な流れも重視しなければなりません。小結節に付く上腕の内旋筋はご存じの通り、大円筋、広背筋、肩甲下筋です。この内旋筋と共同して働く筋である大胸筋は大結節稜につきます。
外旋傷害があるとき、時には、小結節に付く諸筋ではなく大胸筋に緊張が出ていることがあります。大胸筋膜の肋骨部は腹直筋鞘に連絡します。腹直筋鞘に対して何らかの刺激を加えると、大胸筋膜の緊張が緩和されることがあります。さらに、腹直筋鞘は恥骨につきますが、恥骨の下際には大腿内転筋群がつきます。大腿内転筋群は大腿骨内側に、さらに大腿骨内側上顆、鵞足に至ります。その部位から更に膜は下腿後側筋膜に行き着きます。大胸筋膜の緊張を寛解させるために、この流れを応用し、大腿内転筋群、さらには下腿後側の筋膜に対してアプローチすると効果的な場合もあります。

あるいは、ある筋肉をみるとき、その共同筋はもちろんのこと、拮抗筋、さらには機能的拮抗筋もみていく方がより効率的で効果の高い治療をもたらすことができます。

筋膜のネットワークは重要です。それとともに、身体機能のネットワークも見ていくと、治療の幅が一層広がります。

げんき本舗治療院
院長・羽山弘一

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