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按摩・マッサージ

按摩・マッサージ師のための治療法講座(12)

これまでのテーマは、

(1)プロローグ
(2)肩こり
(3)頭痛
(4)カゼ
(5)腰痛
(6)揉むという行為
(7)つわり
(8)五十肩
(9)乳房マッサージ
(10)めまい
(11)更年期障害

今回は、「膝痛」。

まず立位あるいは仰臥位で全体の姿勢を調べる。膝はまっすぐに伸展している状態が最も安定する。屈曲が少しでもあると負担がかかる。今現在膝痛や膝の変形のない人でも、屈曲位にあれば将来痛みが出る可能性が大である。
私の場合、患者さんが20代、時には10代から将来の膝痛を予見する。そのときにわずかでも屈曲位になっていれば、数十年後必ず膝痛と膝の変形が起こる。

この膝の屈曲姿勢は、立位での姿勢に要因があることがほとんどだ。正しい姿勢については周知だと思うのでここで述べるのは省くが、膝が屈曲位になる人は、たいてい上半身が後ろにのけぞっている。わずかな上半身の反りが、重心を後ろにし、バランスを取るために膝を屈曲してしまうのである。
ひどい人になると「私は反り腰です」という人がいる。反り腰ではない、たいていは上半身が反っているだけである。日本人で真性の反り腰の人はほとんどいない。

膝痛のある人はそのような姿勢不良が長年にわたって存在し、そのために、症状を呈している。であるから、まず正しい立位姿勢を指導しなければならない(またこのように悪い立位姿勢の人は、座位だと背中を大きく後彎させる)。

さて、膝痛に関しての直接の治療はどのように行うのだろうか。

まず仰臥位にさせ、膝の変形程度を調べる。両側の間隙はどうか、膝関節の可動性はどうか、どこまで屈曲でき、どこまで伸展できるかなども調べる。

まず、膝関節の可動性を高める作業を行う。上下内外いずれの方向に動きが悪いかを調べ、その方向にわずかに動かすようにする。あるいは可動制限と反対領域の軟部組織(関節包、靱帯などは実はつながっている)を伸展させるようにする。もちろん両方を行ってもよい。

膝の屈曲位に関しては、前方から後方に膝を軽く圧し、大腿と下腿のどちらの可動性が悪いかをまず検査する。同じような膝屈曲位でも、そのいずれが可動制限弱の原因なのか違うのである。可動性が悪い方があれば、そうでない方の膝近接部位後方に拳を縦に入れて固定し(屈曲程度により加減する。軽い屈曲なら手掌の場合もある)、可動制限のある方の膝近接位を後方に軽く圧し、その制限を取るようにする。その際、生理学的な可動性限界を見極めることが大切である。ごく軽く圧し、ふっと動きが止まるところが生理学的限界であり、さらに圧しこれ以上解剖学的に動かないという位置が解剖学的限界である。解剖学的限界を超えて圧を加えると、関節に更なるダメージを与えるのは言うまでもない。

関節間隙には、四指先をそこに入れるようにし両方の関節際方向に、縦に細かく揉捏を行う。変形が強いと間隙はわかりにくいが、解剖学的知識としっかりした触診力があれば、よほどのことがない限り、間隙に見つけることは容易である。間隙が見つからないのは、知識が脆弱か触診力が足りないせいである。

さらに、鵞足を形成する諸筋、腸脛靱帯にマッサージを加える。多くの場合大腿四頭筋は弱くなっているが、そこにトリガーポイントが潜んでいる場合もある。入念に調べ対処しなければならない。

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